【衛生管理者】ガス中毒と有機溶剤・電離放射状・職業性疾病とは?人体にはどんな影響がある?

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本記事では、日本トップクラスに衛生管理者試験1種・2種を熟知している衛生管理者マスターの私ヒロヤが、衛生管理者試験の出題範囲であるガス中毒と有機溶剤・電離放射状・職業性疾病とは何かについて解説します。

人体に影響がある分野なので、衛生管理者試験を受験予定の人は必ず知っておきましょう。

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ガス中毒の要点まとめと概要

1:刺激性物質に長い間ばく露していると、感覚が鈍ってくることはあっても、抵抗力が増すわけではない。感覚が鈍ると障害の自覚が薄れ、危険である。

2:シアン化水素は、皮膚からも吸収される。

■ガス中毒の際の応急手当

風通しのよい場所に寝かせる(ドア・窓を開け放って新鮮な空気を入れる)

→気道を確保

①呼吸がある場合

酸素吸入(携帯用酸素発生器等を使用)

②呼吸がない場合

心稼働→人工呼吸(口対口呼気吹き込み法)

心停止→胸骨圧迫(1分間に100~120回以上、人工呼吸と併用)

ガス中毒の危険

産業界で使われている化学薬品は何万種類もあり、労働環境においては、時には非常に危険な有害物質の中で作業が行われていることもある。

高濃度のガスの吸入による急性中毒や、低濃度のガスを長期にわたり吸入する危険もある。

また、微量でも著しく有害なものや、自覚症状のないうちに徐々に体をむしばむものなどもある。

緊急時を始め、環境衛生管理や環境汚染の発生源対策の第一歩は、ガスなどの有害物質の特定と濃度の正確な情報を得ることである。

主なガス中毒

ガス名ばく露機会、病理等症状
一酸化炭素ヘモグロビンと酸素との結びつきを妨げる窒息性ガス。酸素欠乏状態を起こす。中枢神経系に障害を生じ、神経細胞の変性及び脳浮腫をきたす重症では、昏睡状態で顔色がピンク色になる
急性中毒では組織の酸素不足による頭痛、嘔吐、静脈血も鮮紅色を呈する
慢性中毒では運動能力の低下、知覚能力の低下、精神神経症状が起こる
シアン化水素(青酸)細胞組織における呼吸障害(酸素利用を阻害する)。皮膚からも吸収されるアーモンドの様な匂いの口臭
二酸化窒素大気中の窒素が高温部と接触して発生し、容易に水に溶けて亜硝酸となる。酸による肺胞障害、遅発性肺水腫、ばく露から数時間ののちに呼吸困難を発症する。閉塞性細気管支炎
硫化水素下水道でも自然発生する刺激性ガス。脳神経細胞障害。強い腐乱臭、硫黄臭を放つが嗅覚麻痺をきたすため、高濃度(500ppm以上)でばく露すると気づかない意識消失、呼吸障害、過呼吸、高濃度では呼吸中枢を破壊して呼吸停止に至る
二酸化硫黄容易に水に溶けて硫酸ミストとなり、粘膜刺激や歯牙腐食をきたす気管支の反射的狭窄、肺胞を破壊して肺水腫を起こす。慢性気管支炎、口腔接触で歯牙酸蝕症
弗化水素強い刺激臭があり、無色のガスで水に溶けやすい慢性中毒では、骨硬化症による関節痛など、歯のエナメル質に白い斑点や色素の沈着がみられる斑状歯など

有機溶剤の要点まとめと概要

1:有機溶剤に共通する有害性は、皮膚、粘膜への刺激、皮膚や呼吸器から吸収されやすく、脂肪の多い脳などに入りやすい。中枢神経の麻酔作用がある。

2:ベンゼン、トリクロロエチレンは、発がん性があるため、法規では、特定化学物質に分類されている。

■有機溶剤の特性等

キーワード特性等の概要
物理的性質
(揮発性・脂溶性・引火性等)
・常温では液体であるが、一般的に揮発性が高く、蒸気となって作業者の肺などの呼吸器を通じて、体内に吸収されやすい。
・引火性があり、蒸気は空気より重い。
・油脂に溶ける性質もあることから、皮膚からも吸収される。脂肪の多い脳などに入りやすく、中枢神経障害を起こす。
・アセトン、メタノールは、水溶性と脂溶性をともに持つ。
生物学的モニタリング・有機溶剤の特殊健康診断において、有害物質のばく露状況を尿中代謝物(トルエンは馬尿酸、キシレンはメチル馬尿酸、ノルマルヘキサンは2.5-ヘキサンジオン、テトラクロロエチレンはトリクロロ酢酸など)の生体試料から測定する。有機溶剤の生物学的半減期は、鉛の場合における尿中デルタアミノレブリン酸の場合に比べ短い。よって、有機溶剤の健康診断では採尿・採血時期は厳重チェックが必要。

有機溶剤とは

有機溶剤は、他の物質を溶解する性質(特に脂溶性のもの)がある有機化合物質の総称で、常温で液体である。有害性が高く有機溶剤中毒予防規則の適用を受ける。

有機溶剤は、毒性の強い順に第1種~第3種に区分管理され、この区分に応じて次の色分け表示がされる。

第1種(赤)1.2-ジクロロエチレン、二硫化炭素及び特別有機溶剤

第2種(黄)アセトン、クレゾールなど

第3種(青)ガソリン、石油ナフサなど

※特別有機溶剤:有機溶剤中、発がん性が高く、特定化学物質として管理され、作業記録の作成、健診結果等の記録の長期保存(30年)、が必要である。クロロホルム等10種がその適用を受ける。

共通する性質

共通する有害性は、皮膚、粘膜への刺激と中枢神経の麻酔作用である。

①脂溶性、揮発性、引火性。

②溶液の付着や高濃度蒸気に触れると皮膚、粘膜などへの刺激と炎症が起きる。

③それぞれ沸点に違いがあり、沸点の低い有機溶剤ほど蒸発速度が速く、気中濃度を高くする。

④皮膚や呼吸器から吸収されやすく、脂肪の多い脳などに入りやすく脳中枢に麻酔作用などの影響を与えやすい。

⑤低濃度慢性ばく露では頭痛、頭重、疲労感、倦怠感、めまい、イライラ感、吐き気、食欲不振などの自覚症状とともに末梢神経炎、肝機能障害、白血球減少のような特異な他覚症状が出現する。

主な有機溶剤

有機溶剤ばく露機会、病理等症状
トルエンシンナーや塗料の材料。
中枢神経毒性があり、体内で代謝されると馬尿酸となる。
中枢神経に抑制作用がある。頭痛、めまい、吐き気等。高濃度長期吸入ばく露では中枢神経系の機能障害、脳の萎縮、腎障害などが生じる。
酢酸メチル水に溶けやすく、合成樹脂製造に用いる神経系の障害、視野狭窄、視力低下
二硫化炭素再生繊維の製造や殺虫剤の原料網膜細動脈瘤を伴う脳血管障害、精神障害、肝障害
ノルマルヘキサン慢性毒性では末梢神経を侵す多発性神経炎、肝機能障害

※シンナー:塗装や接着剤等の希釈液で、トルエンやキシレンなどが主成分。急性中毒ではめまい、意識障害、慢性中毒では造血機能低下、中枢神経系の変性がある。

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電離放射線の要点まとめと概要

1:電離放射線被ばくの人体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。

2:放射線被ばくの人体への影響度合いにより、しきい値の一定量以上で必ず出現する造血器等急性障害の「確定的影響」と、しきい値がない発がんや遺伝的影響等の「確率的影響」に分けられる。

■放射線障害の分類と人体への影響

影響区分出現区分主な症状被ばく量区分
身体的影響急性障害造血器障害(白血球減少等)確定的影響
(しきい値以上)
急性放射線障害(消化器等)
生殖器障害(不妊)
皮膚障害(脱毛・皮膚紅斑)
晩発障害白内障・緑内障
白血病・がん確率的影響
(しきい値なし)
遺伝的影響寿命短縮
突然変異・染色体異常

電離放射線

電離放射線は、電磁波と粒子線に分けられる。電磁波にはエックス線、ガンマ線、粒子線には、アルファ線、ベータ線、中性子線、電子線などがある。

電磁波は、空間の電場と磁場の変化により形成される波である。いわゆる光や電波は電磁波の一種である。この波が1秒間に振動する数を周波数といい、その単位をHz(ヘルツ)で表す。電磁波が空間を伝わる速度は一定で、周波数が高いほど、一つの波の長さは短くなり、この波の長さを波長という。

電磁放射線による人体への影響

①電離放射線被ばくによる健康への影響は、身体的影響と遺伝的影響に区分される。

②放射線被ばくは、症状が現れるまでの時間により、急性障害(30日以内に障害が現れるもの)と晩発障害(数か月、数十年にわたる潜伏期間を経て出現するもの)に分けられる。

確定的影響と確率的影響

人体への影響度合いにより、放射線量の被ばくのメカニズムを考慮して、「確定的影響」と「確率的影響」に区分する。

[確定的影響]

一定量以上の電離放射線を受けると必ず影響が現れるものをいう。障害の発生と被ばく線量との間には「しきい値」が存在し、しきい値の一定量以上で被ばく線量に見舞われないと発生しない。

被ばく後は、臓器や組織細胞が多数死滅したり変形する。骨髄や中枢神経等の障害以外で、造血器障害(白血球減少等)、消化器障害(胃腸管、粘膜障害)、生殖器障害(不妊等)、皮膚障害(脱毛等)等多くの急性障害がみられる。晩発障害の白内障も確定的影響に含まれる。

[確率的影響]

一定量の電離放射線を受けたとしても、必ずしも影響が現れるわけではない。

しきい値がないとされ、被ばく線量に比例して受ける放射線量が多いほどリスクが増加すると考えられる。発がんや遺伝的影響等の障害がある。

※しきい値:反応や変化が起こる境目・境界線。生体に影響がみられる最低の放射能レベル。

非電離放射線の健康障害

紫外線、可視光線、赤外線などを電離放射線とは区別していう。波長は最短の紫外線から順に以下のようになる。

(短)紫外線-可視光線-赤外線-マイクロ波(長)

非電離放射線の人体への影響の主なものとしては、紫外線(電光性眼炎、皮膚がん)、赤外線(皮膚火傷)、マイクロ波(組織壊死)などの症状がある。

※レーザー光線:金属加工等で使用される人工光線で、単一波長で強い指向性があり、眼に入ると網膜を損傷する。

職業性疾病の要点まとめと概要

・減圧室は、潜降中には発生しない。減圧速度が速すぎるために起こるほか、血中窒素濃度が下がりきらないうちに、1気圧より低い環境(航空機搭乗など)に置かれることにより発生する。

■粉じん(ヒュームを含む)による健康障害

・じん肺は、粉じん吸入により発生する肺の繊維増殖性病変(間質性肺炎、けい肺等)で、進行すると病変は治らず、さらに進行する。肺結核、気管支炎や肺がん、悪性中皮腫などを合併しやすい。

・じん肺の原因物質は、土ぼこりや金属・鉱物粉じんなどで、主なものに石綿(アスベスト)、遊離けい酸、セメント、石炭、酸化鉄、アルミニウム等の他、炭素を含む粉じんでも起こる。

・けい肺は、何年間も鉱物性粉じんの遊離けい酸(シリカ:石英)を吸入した鉱山労働者や鋳物工等に発症リスクが高く、慢性的な繊維増殖性病変から、呼吸困難などの症状が出現する。

・金属ヒュームのばく露には、建設業・造船業などの酸化鉄ヒュームによる溶接工肺、金箔製造業のアルミニウム研磨粉じん吸入によるアルミニウム肺などがある。

凍傷

長時間寒冷にさらされて起こる局所性の寒冷障害。組織の凍結は-4~-10℃以下で発生するが、循環障害は氷点下でなくても発生する。凍結により血液中の水分が失われ血栓ができる。これによる血行障害が大きなダメージになる。凍傷にかかりやすいのは手、足、鼻、耳である。

凍傷にかかった部位を温めると、ヒリヒリする痛みを感じ、震え、不明瞭言語、記憶喪失を生じることがある。

低体温症

体内の熱産生が間に合わないほど外気温が下がると体温が下がり始め、体温が27℃以下になると仮死状態となり、20℃を下回ると凍死に至る。

凍瘡

しもやけのこと。日常生活内での軽度の寒冷(0℃以上)と湿度により発生する皮膚障害。

減圧症(ベンズ)

潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、過飽和状態の血液中の窒素が気泡化して起こる。痛みやしびれ、皮膚の痒み、呼吸障害などが出る。

振動障害

①全身振動障害:交通、工場、建設などの振動が原因になり、睡眠障害や不快感から、胃腸障害、内臓下垂、脊柱の異常などが起こる。

②局所振動障害:チェーンソー、削岩機、エアハンマーなどの振動器具からの振動を長時間受けることが原因で、手指血管のけいれん発作が起こり、発作的に手指が白くなり、しびれ感、知覚の鈍麻や不快感を伴う。この症状は特に寒冷になると強くなる。このような現象を職業性レイノー現象(注)と呼び、進行すると末梢神経障害や骨関節障害をきたす。

(注)レイノー現象(手指発作、白ロウ病):手足の血行が悪くなって、皮膚の色が蒼白又は紫色(チアノーゼ)になり、痛み、冷感、しびれ感を自覚する。

木材粉じんによるアレルギーなど

木材の含有成分により、アレルギー症状などの障害を起こす可能性があるものが約80種知られている。

皮膚炎を起こすウルシ類のほか、スギ、ヒノキ類、マメ科の木材などには、皮膚炎や喘息、気管支炎などの呼吸器障害を起こさせる成分を含有しているものも多い。

これらの加工の際に出る粉じんにばく露され、アレルギー症状等が発現する。加工時には防じんマスク、手袋等により、防護策を取らなければいけない。

以上

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